
韓国の地元の人が夏の避暑地として向かうのが茂朱(무주)です。全羅北道の山あいにあるこの小さな郡は、韓国第4位の高山を誇る徳裕山国立公園(덕유산 국립공원)と、36kmの峡谷ドライブコース九千洞渓谷(구천동 계곡)を抱えています。レンタカーで早朝にソウルを出発すれば、午前中に全く違う韓国の顔と出会えます。
ドライブそのものが目的地です。37号線は南江の支流沿いを縫うように走り、滝・吊り橋・数百年前から名付けられた33の絶景スポットを通過します。標高800〜1,000mでは夏の気温がソウルより5〜8°C低く、レンタカー旅の最大の理由のひとつになっています。
ソウルから京釜高速道路で南下し、湖南高速道路の分岐で茂朱IC方面へ進みます。全距離は約215km、交通が順調なら2時間30分〜3時間。片道の高速料金は約15,000〜18,000ウォンです。大田付近を通過するので、山岳区間に入る前に大田サービスエリアで給油と休憩を済ませるのがおすすめです。

メインドライブは九千洞観光特区(구천동 관광특구)の入口から始まり、峡谷の奥深くへと続きます。「九千洞」という名は、漢字で「九千の洞窟」を意味し、景色の変化の多さを詩的に表現したものです。夏は樫の木と松が作る緑のトンネルが道路を覆い、片側にはエメラルドグリーンの渓流、もう片側には花崗岩の絶壁が続きます。

峡谷の道路は区間によって一方通行があり、曲がりくねった道が多いため注意が必要です。指定の駐車スペースで停車するのが安全です。入口から約11kmのところにある九曲瀑布(구곡폭포)は落差40mの人気スポットで、8月でも水温が低いまま。駐車場から往復約20分の散策で到達できます。
峡谷道路の終点には徳裕山国立公園管理所と茂朱徳裕山リゾート(무주덕유산리조트)があります。冬はスキーリゾートとして有名ですが、夏はゴンドラが運行され、約15分で標高1,520mまで上がれます。その後、香積峰(향적봉)の山頂(1,614m)まで徒歩20〜30分です。山頂の気温は麓より10〜15°C低く、夏の猛暑日でも快適です。

渓谷道路を引き返す際は、ネダリ吊り橋(내도리 출렁다리)に立ち寄りましょう。全長270mの歩行者用吊り橋がゆっくりと揺れながら峡谷の上を渡り、橋の中央から上下流の谷が一望できます。入場は無料で、渡り切るのに約10分。夕方遅めの光が峡谷の崖に差し込む時間帯は特に写真映えします。

橋を渡ると峡谷路は茂朱邑へ向かいます。ここが最も食事の選択肢が豊富なエリアであり、年次イベント茂朱ホタル祭り(반딧불축제)の会場でもあります。8月上〜中旬に訪問する場合は、事前に開催日を確認しておきましょう。韓国の天然記念物であるゲンジボタル(Luciola lateralis)が主役のこのイベントは、夜間のホタル鑑賞ツアーが外国人旅行者にも大人気です。
茂朱邑の中心部にいくつかの食堂が集まっています。バスターミナル近くのテハク食堂(대학식당)は、全羅道風のビビンバで地元に人気の店です。九千洞入口付近には川魚を使ったマウンタン(매운탕)辛口魚スープの専門店が複数あり、1杯12,000〜15,000ウォンほどです。

茂朱はほとんどの外国人旅行者のルートに入っていません——だからこそ渓谷の道路は空いており、ゴンドラの待ち時間は短く、レストランの値段は観光地プレミアムなし。レンタカーを借りて早起きして出発すれば、午前10時に標高1,520mから夏の雲海を見下ろしている自分に気がつきます。これが韓国ロードトリップの醍醐味です。
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